【中小製造業DX】推進のあるべき姿とは〜現場と経営が“同じ方向”を向くために〜
中小製造業のDX・業務改善を支援するコンサルティングエンジニアとして、実体験をもとに、課題解決のヒントをお届けします。
はじめに:DXに踏み出せない理由
前回のコラムでは、DXの本質が「会社の仕組み・ルール・システムをアップデートすること」にある一方で、
“業務を止めるリスク”が障壁になり、多くの中小製造業でDXが進まないという現実をお話しました。
今回は、その壁を越えるために必要な「DX推進のあるべき姿」について考えていきます。
DXは「再デザイン」から始まる
システムやルールを変えるには、なるべくシームレスに業務をアップデートする必要があります。
そのためには、既存の仕組みを再デザインする視点が求められます。
その第一歩は、経営と現場の「目線を揃える」ことです。
認識のズレがDXの妨げになる
たとえば、「生産性を10%向上させたい」といった目標があったとします。
-
経営側の考え:同じリソースでより多く生産して、効率化を図りたい
-
現場側の考え:すでに人も設備も限界。これ以上は物理的に厳しい
このように、経営と現場で認識がズレていると、施策が空回りしてしまいます。
数値で見える化する:プロセスごとの生産性を測る
こうしたズレを解消するために有効なのが、業務プロセスを分割し、それぞれの生産性を数値化する方法です。
具体的には:
-
受注から納品までの流れを複数のブロックに分ける
-
各プロセスにかかるリソースと出力(生産性)を測定
-
投資効率の高低やボトルネックを定量的に把握する
これにより、現場と経営が共通認識を持てる「見える化」の土台ができます。
本当に必要な場面でこそ、DXを使う
ボトルネックが明確になった段階で、初めて「DXによる解決」が現実的な選択肢として浮上します。
ここで重要なのは、**DXはあくまで「手段」**だということ。
たとえば、同じ業務省力化を図る場合でも、
-
サブスク型のAIやRPAツールを導入する
-
Excelの関数やスクリプト、タスクスケジューラで工夫する
という2つの選択肢があったとき、コスト効率が高ければ後者を選ぶべきです。
最新技術が“かっこいいから”ではなく、課題に対して最も効果的な手段を選ぶことが大切です。
「なぜ改善するのか」に立ち返る
本来の目的は、「生産性の向上」ではなく、その先にある**「利益の向上」**です。
たとえば:
-
増産すれば売れる → 生産性向上=利益向上
-
売れ行きが変わらない → 生産性向上=リソース削減につながる可能性
つまり、改善の意義は常に「需要とのバランス」の中で再確認する必要があります。
経営と現場が「未来を共有する」ことが出発点
現場が改善に前向きになるためには、「効率化されたリソースをどう使うのか」というビジョンが必要です。
たとえば:
-
将来の製品開発に振り向ける
-
顧客対応や品質向上に充てる
-
成長投資のための時間を生み出す
そのためには、経営と現場が同じ課題認識を持ち、未来を共有することが何より重要です。
まとめ:DXのスタートは、共通認識づくりから
中小製造業におけるDXを成功させるためには、まず「そもそもなぜ改善が必要なのか」という視点を共有し、
経営と現場が同じ方向を向いて課題解決に取り組むことが何よりの出発点となります。
✉ ご相談・お問い合わせはこちらから
中小製造業のDX導入や業務改善に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。
👉 お問い合わせはこちら
補足・協力
本記事は、株式会社コガク様のご協力のもと、Podcastセミナー第2回の原稿をもとに再編集したものです。
▶ 株式会社コガク 公式サイトはこちら