【製造業のエネルギーマネジメント#1】製造業におけるコスト削減と省エネ、CO2削減

目次

省力化と省エネによるコスト削減

DXによって解決すべき課題の一つに製造コスト削減がありますが、製造業におけるコスト削減のためのメジャーな取り組みとして、省力化と省エネが挙げられます。

省力化はロボットやRPAなどの活用による作業の自動化、または作業の効率化によって達成され、省エネは利用エネルギー形態の最適化や再利用、または設備やプロセスの効率化によって達成されます。

業種によって大きく異なりますが、製造業の原価に占める労務費の割合は10~20%、一方、エネルギーコストの割合は1~10%とされています。
従って、削減の余地としては労務費の方がエネルギーコストよりも大きいですが、自働化は投資や活用のハードルが高く、特に、中小製造業において安易な人員削減は従業員全体のモチベーション低下や暗黙の知見の喪失につながるリスクがあります。

これらのことと、比較的費用対効果の計算が立ちやすいことから、最初のコスト削減として省エネから取り組むことが多いように思います。

CO2削減と省エネの違い

一方CO2削減と省エネはセットで語られることが多く、一見同じ取り組みを指しているように見えますが、削減対象が異なります。

具体的には、CO2削減方法の一手法として省エネがあり、例えば電気使用量を削減することで、本来その発電に必要な燃料が削減され、結果としてCO2の排出量を削減することにつながります。

省エネ以外のCO2削減手法としては、CO2排出量の少ない原料に代替するといったものがありますが、省エネはコスト削減とCO2削減を同時に達成できるため、まずは省エネから取り組まれることが多いかと思われます。

CO2削減の目標達成に必要なこととは

しかしながら、製造業において省エネだけでCO2の削減目標を達成することは非常に困難であるのが現状です。CO2削減目標は2035年までに46%とされており、これを省エネだけで達成するには単純に使用エネルギーを約半分にする必要があります。プロセス改善や効率の良い設備への更新では最大でも20%程度(省エネポテンシャル10~20%)とされていますので、残りを達成するにはエネルギー源を、太陽光や風力発電などのグリーン電気、またはグリーン水素などに転換する、といった取り組みが必要となります。
また、CO2排出量は使用原料や従業員の通勤や出張等によるものも合わせたものとなるため、実は省エネを46%達成したとしてもCO2削減目標には届かないということになってしまいます。

従って、CO2削減目標達成には省エネに加え、費用対効果を踏まえた上で抜本的な製造プロセスまたは事業モデルの見直しが必要となってきます。

次回予告|「日本の製造業における省エネの現在地」


次回は、日本の製造業がどの程度省エネを達成しているのか、国や業界別のデータをもとに現状を見ていきます。
また、省エネ義務化や報告制度といった法制度の動きについてもご紹介します。

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