〜DXを成功させるための社内整理のすすめ〜
中小製造業のDX・業務改善を支援するコンサルティングエンジニアとして、現場と経営をつなぐ実体験から、課題解決のヒントをお届けします。
はじめに:DXを進める前に必要なこと
みなさん、こんにちは。
製造業の課題解決コンサルティングエンジニアの藤原です。
今回は【製造業向け】真のボトルネック見える化と解消のためのDXというテーマの第3回目として「DXのために必要な考え方」についてお話しします。
経営と現場の“認識のズレ”を埋めるには
前回、DXを推進する前に、経営側と現場側双方が同じ方向に向かって前向きに課題解決に取り組むため、会社の課題について認識を合わせることの重要性についてお話しました。
では認識を合わせるために具体的にはどのようにしたらよいでしょうか。
これには気を付けるべきポイントが3つあります。
業務整理における3つの重要ポイント
① 用語の整理・統一
まず1つ目は、業務で用いられている用語を整理、統一することです。
実は意外と、違う部署には通じない用語が存在したり、同じ用語なのに部署ごとに別の意味を持たせている、逆に同じことを指しているのに用語が違うということがあります。
これを見逃したままDXによる全社連携を進めてしまうと、ミスコミュニケーション、ひいてはトラブルにつながってしまいます。
② 業務フローの“俯瞰的な見直し”
2つ目は、会社の業務フロー全体を俯瞰で整理、見直すことです。
同じ社内でも別の部署でどんな業務がどのように行われているか、知らないケースが多いです。
そのため、部署間で上手く連携することで重複している業務を省略できることがあり、例としては業務データを個人で収集して分析などしている隠れたエクセル作業があります。
また、生産指示書への手書きメモや紙で依頼書を回している場合、紛失や内容が共有されないといった問題があるため、DXで情報連携するためにもできる限り抜け漏れが無いよう洗い出す必要があります。
③ 情報を“できる限り定量化”する
3つ目は、できる限り定量化するということです。
お客様から注文を受けて納品するまで、注文書は1日何件か、生産指示書は何件か、各工程の作業または機械の平均および最大生産能力はどのくらいかなど、業務ごとに現状の負荷と能力をすべての部署が共有できていない場合、
例えば、営業が生産スケジュールを把握しないまま受注したことによる納期遅れ、社内のパワーバランスによって生産能力が十分である工程に人員や予算が多く割り当てられる、といった問題が起こり得ます。
DXを成功に導くための要件定義の重要性
DXを進めるためにはこれら3つのポイントをおさえて社内の情報を整理・共有し、その上でDXツールの選択やシステム構築に必要な要件を言語化し定義書を作成することが重要です。
整理されないままDXを進めると、現場の現状の作業をそのままRPAやロボットに置き換えようとするため、無駄な工数や費用が発生し、かつ省力化の効果が得られないといった結果に陥る危険性があります。
第一回でもお話したように、パッケージのDXツール、システムの供給側はどのように活用し効果を出すかについてはユーザー側に委ねている場合が多いので、利用者側でDXを進めるための要件定義を作成できた方が望ましいです。
基本的に、会社のことを一番把握しているのはその社員なので、コンサルを活用する場合でも、主体的に考える姿勢があればよりスムーズに進めることができます。
まとめ:DXの成功は「整理」から始まる
中小製造業でDXを成功させるには、まず社内の情報と認識を丁寧に揃えることからスタートすべきです。
- 用語の共通化
- 業務フローの見える化
- 業務・能力の定量化
この3つを整えることで、DXツールやシステムの選定・導入がスムーズに進み、費用対効果の高い改善が実現できます。
次回予告
次回は「製造業の真のボトルネックと見える化」についてお話しします。
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補足・協力
本記事は、株式会社コガク様のご協力のもと、Podcastセミナー第3回の原稿をもとに再編集したものです。
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