後編のテーマ:トラブル対応の実情
今回は「人出不足とトラブルの後手対応」の後編としてトラブル対応の実情について取り上げてみたいと思います。
トラブルの種類:予測困難なものと予測可能なもの
まずトラブルの種類ですが、大きく分けて「予測困難なもの」と「予測可能なもの」に分けることができると考えられます。
予測困難なものとしては、取引先や仕入先都合で急に条件等が変わったことに対応が追い付かず発生するものがあり、例としては配送の変更手配が間に合わず集荷営業所から回収して直接送り届けるといったことや、仕様変更対応により生産計画を変更し計画が遅延するといったことが挙げられます。また、天変地異といった外部環境によるものも予測困難と言えるでしょう。
予測可能なものとしては、既に過去に経験済みまたは典型的なヒューマンエラーがあり、基本的には発生原因が分かっており作業手順に沿っている限りはトラブルが発生しませんが、体調、教育など環境や状況によって生じてしまうものと考えられます。
中小製造業の現場におけるトラブル対応の実態
このようなトラブルについて中小製造業の現場がどのように対応しているかというと、残業や他部署からの応援、または担当者の機転によって乗り越えているというのが実情です。特に、当日の生産工程管理については現場のキーマンが全体を見て調整しているケースが多く、それによりトラブルに柔軟に対処可能である反面、属人化しているためリスクが非常に高い状態です。
属人化がもたらす悪循環
トラブルの頻度が低いうちや人員が確保できている場合はそれほど問題ではありませんが、頻度が上がる、または一時的なマンパワー不足や従業員の退職などすると一気にバランスが崩れてしまいます。そうなると、トラブル対処にリソースを割かれ、さらにトラブルの呼び水となり、最悪の場合職場環境が悪化しさらにリソース不足となる、といった悪循環に陥る可能性があります。
予測困難なトラブルへの基本的な考え方
では、これらについてどのように対応すればよいでしょうか。
予測困難なトラブルについては前編で述べたように、リアルタイムに受注状況と生産状況を把握する仕組みにより生産を平準化することで生産計画と現場に余裕を持たせることが有効であると考えています。
一方、予測可能なトラブルについても、元を辿ると現場に余裕がないことで従業員の体調や教育体制に影響を及ぼしている場合は、同様に生産計画と現場に余裕を持たせることが有効でしょう。
トラブルを未然に防ぐための仕組み:センシングとアラート
また、仕組みとして作業や設備トラブルを未然に防ぐ方法としては、センシングとアラートを適正化するというものがあります。
これまで伺った現場では、アラートの設定値が現状と合っておらずアラートメールが頻発し他のアラートを見逃すため無効化しているといったケースや、本来は検知可能な異常を設備の仕様や検知の仕組みを知らないために検知できていないケースがありました。
単一のセンサや設定条件ではアラート発報条件の場合分けが難しいため、現状に合わないということが起こりますが、複数のセンサや複数の閾値を組み合わせて利用することができれば現状に合った柔軟なアラート発報が可能となります。
- アラート運用見直しの事例①
具体的な事例としては、毎日決まった時間に停止する装置があり、これは意図した操作であったものの、これに連動して温度異常などのアラートが毎回発生していたため、現場でこれが無効化されていました。しかしながら、上記により本当の異常を見逃し設備トラブルが発生したことをきっかけに運用を見直すこととなり、制御にスケジュール停止機能とその間はアラートを除外する機能を追加することで解決が図られました。
- アラート運用見直しの事例②
また別の事例としては、成分を一定濃度に保つ工程において、供給装置への原料の補充忘れが稀に発生していたため、供給装置が通常条件では一定時間以上稼働することが無いことに着目し、電流センサによって供給装置の稼働状況を可視化し、一定時間以上稼働している場合は空運転しているものとしてアラートを出すことで補充忘れを通知する仕組みが設けられました。
専門知識が必要な領域と外部活用
ただし、センサや制御については専門的な知識や経験が必要であり、また生産設備については“中小製造業における悩みその1:ベンダーロックイン”でも述べたように、ベンダーやメーカー依存となっており自社では対応が難しいケースがあるため、まずは取引のあるベンダーやメーカーに相談し、それでも解決しない場合はOTについて知見を持った企業や専門家に相談することをお勧めします。
まとめ:後手対応は「経営判断の問題」である
前後編にわたり述べたように、中小製造業におけるトラブル対応への後手対応は人手不足によるものではあるものの、単に人員を増やせば解決するものではなく、事前に生産調整を行える仕組みづくりにより現場に余裕を持たせ、キーマンに頼らない工程管理を実行できる体制を整えることが重要となります。
この問題は経営層が“現場の人出不足の要因を正しく認識できているか”ということが問われており、現場改善ではなく“経営判断の問題”であると言えます。
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