【中小製造業DX】推進のあるべき姿とは〜現場と経営が“同じ方向”を向くために〜
中小製造業のDX・業務改善を支援するコンサルティングエンジニアとして、実体験をもとに、課題解決のヒントをお届けします。
はじめに
みなさん、こんにちは。
製造業の課題解決コンサルティングエンジニアの藤原です。
今回は【製造業向け】真のボトルネック見える化と解消のためのDXというテーマの第2回目として「DX推進のあるべき姿」についてお話しします。
前回のコラムでは、製造業において、DXにより企業の課題解決を図るためには、システム、仕組み、ルールをアップデートする必要があるものの、そのために製造が止まるリスクがあるためDXに踏み切れないということをお話しました。
このリスクを抑え、なるべくシームレスにアップデートするにはシステム、仕組み、ルールを再度デザインしなおすことが重要です。
経営と現場の「認識のずれ」をどう埋めるか
そのためにまず必要なことは経営側と現場の目線、すなわち認識を合わせることだと考えています。
例えば生産性何パーセントアップという経営課題があるとして、経営側としては同じリソースで生産能力をアップさせることを期待している一方、現場としてはすでに日々の業務で手一杯であるため、生産能力を上げるには人手や設備能力の増強が必要という考えだとすると
経営側はリソースをなるべくそのままで効率化してほしい、まだ効率化の余地はあるはずという認識に対し、現場としてはこれまで改善を重ねており、これ以上の効率化は難しいという認識のためずれが生じています。
プロセス分解と数値化による投資判断
この場合どのようにすればよいでしょうか。
一つの考え方として、お客様から注文を頂いて商品を届けるまだのプロセスを一定のブロック毎に分け、それぞれの生産性を数値化するというものがあります。
これにより各プロセスにおいて投入リソースに対し、どのくらいの生産能力が得られているかといった投資効率を定量化し、かつ現状一番生産能力が低いプロセス、すなわちボトルネックを把握します。
ボトルネックプロセスの投資効率が良い場合は経営側と現場側の意見を揃えやすく、逆に投資効率が悪い場合は、そのプロセス自体の見直し、発想の転換が必要となります。
DXは手段であり、目的ではない
この段階になってようやく、新技術の活用であるDXが選択肢にあがることになります。
第一回目の繰り返しになりますが、DXはあくまでこのように課題解決の手段であり、DX自体が目的とならないよう注意が必要です。
極端な例ですが、同じ業務省力化において、一方はサブスクのRPAやAI、もう一方はエクセルの関数の工夫やスクリプト、タスクスケジューラの活用という方法があり、効果が同じである場合、コスト効率として後者が採用されるべきということになります。
生産性向上の“そもそも”を見直す
課題については常に“そもそも”に立ち戻る必要があると考えています。
そもそもなぜ生産性を上げたいかというと売上、もっと言えば利益を上げたいからだと思います。
当然生産性を上げれば同じコストで生産能力がアップし一見売上増、利益増になりそうですが、これは増産した分だけ売れる前提の話です。
つまり、需要に生産が追い付いていないのであれば生産効率を上げることは有効ですし、そもそも単純な生産能力増強でも売上と利益は上がりますが、実は生産能力がアップしても売り先がないのであれば、効率化の行き着く先はリソース削減となります。
後者の場合、現場の理解はなかなか得難いのではないかと思います。
従ってこれは効率化で確保したリソースを活用して、将来に向けての対策をする、売上増の施策を打つということとセットになります。
経営と現場が向かうべき方向
以上のことからDXを推進するには、経営側と現場側双方が同じ方向に向かって前向きに課題解決に取り組めるように、そもそもの会社の課題について認識を合わせることが重要であると考えています。
次回は「DXのために必要な考え方」についてお話しします。
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補足・協力
本記事は、株式会社コガク様のご協力のもと、Podcastセミナー第2回の原稿をもとに再編集したものです。
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