【中小製造業DX#1】製造業におけるDXが進まない根本的な原因〜真のボトルネック見える化と解消のためのDX〜

目次

~“経営と現場”をつなぐコンサルティングエンジニアの視点から~

この記事では、この記事では、DXがなぜ中小製造業で進まないのか、現場で見えてきた“本当の原因”を解説します。
ツール導入で終わらない、本質的なDX推進のヒントが得られます。

みなさん、こんにちは。

製造業の課題解決コンサルティングエンジニアの藤原です。

コンサルティングエンジニアという名前はあまり聞きなじみがないかと思いますが、これは経営の課題解決もコンサルタントとして支援する一方、現場に入って技術的な課題解決についてもエンジニアとして支援する仕事です。

具体的には製造業における工程や業務の自動化、効率化を、生産設備やロボットの制御プログラム作成から自作IoTデバイスによるデータ収集、ERP機能を持つクラウド基幹システムの開発、セキュリティ診断といったトータルエンジニアリングと、それを活用した課題解決のコンサルティングを併せた一気通貫の支援を行っています。

このようなコンサルティングエンジニアとして数々の製造業を支援した経験から、経営者や現場のリアルな悩みを理解していると考えています。

その実体験を元に、今回から5回にわけて【製造業向け】真のボトルネック見える化と解消のためのDXというテーマについてお話したいと思います。

 

今回は「製造業においてDXが進まない根本的な原因」についてお話しします。

【中小製造業DX】なぜDXは進まないのか?

DXとはそもそも何か?

DXという言葉は皆さん色々なところで既に何度も聞いているかと思いますが、どのようなイメージでしょうか。

AIやロボットを使って業務を自動化するといったイメージでしょうか。

DXという言葉自体は約20年前の2004年のスウェーデンの大学教授による論文が初出とされているようです。

この論文ではDXは「デジタル技術の進化が人間の生活を変革させる」、という概念ですが、経済産業省によるDXの定義は「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」とされており、先ほどの定義に比べ企業とビジネスにフォーカスした、より狭義のものとなっています。

皆さん今の定義を聞いて具体的にイメージできたでしょうか。私には少し回りくどいように感じました。

企業とビジネスにフォーカスした場合、重要なのはその企業の悩みをどう解決するかということだと考えています。したがってデジタル技術はあくまで手段であり、悩みを解決できるのであれば、法律、コンプライアンス、そして企業理念に沿う限りはどのような方法でもよく、その中で最もコストパフォーマンスが良い方法が採用されるということになります。

つまりDXが進まないのは、単純に供給されているツールやシステムが検討側にコストパフォーマンスが良くないと思われているということではないか思います。

中小製造業におけるDXの再定義

このことから私なりに製造業向けにDXを再定義するとすれば、「最新デジタル技術を用いることで今まで解決できなかった悩みを解決し、会社を発展させる」となるかと考えています。

日本におけるDXの現状と失敗要因

現状DXがどのように進んでいるかというと、経済産業省やコンサル会社などの調査によれば2021年時点の日本の企業におけるDX成功企業は1割未満となっています。DX推進に失敗する原因や理由としてよくあげられるのは、

「経営者の理解不足」

「アナログ前提の業務が多い」

「システムやツール導入で満足してしまう」、

DX人材やDX予算などのリソース不足」、

「従業員からの抵抗」などです。

製造業において、これらの理由はあるものの、実際数々の製造業の現場を見てきた実体験としては根本的な原因は違うところにあると考えています。

製造業の現場で感じる「本当の原因」

DXツールはプロダクトアウト型が主流

そもそも、今、世の中でDXツールやシステムと言われているものはAIを主体とした製品やサービスありきの、いわゆるプロダクトアウト型のものが多く、展示会などで製品やサービスのサプライヤーに話を聞いても、どのように活用してどのように効果を出すかについてはユーザー側に委ねている企業が非常に多い状態でした。

導入事例や成功事例についても結局はユーザー側が主体的に考え、検討したものが多い印象です。

DXが進まない最大の要因:業務が止められない

このようにDXについて検討する人材や時間、予算が無い場合、当然進めることが難しいですが、DXに踏み切れない根本的な要因は現在の業務を止められないということです。

製造業である限り、モノを作り続け、それらを販売し続ける必要があります。

一方そのビジネス、業務が時代や環境にそぐわなくなることで悩みが発生します。

業務の悩みと時代の変化

具体例としては大量生産の時代から、商品が人々の好みに合わせて個性化、細分化されることで小ロット多品種に移行し、それまでの生産設備や従業員数では回らなくなるといったものです。

その悩みを解決するためには生産設備や業務そのものを変える必要があり、当然要素毎は改善されているものの、基幹となるシステム、ルール、仕組みは古いままです。

要素改善ではいずれ時代や環境の変化に追いつけなくなるため、根本的に悩みを解決するにはこれら基幹システム、ルール、仕組みをアップデートする必要がありますが、ここに手を付けようとすると業務を止めざるを得ないため先送りとなっている、というのが、私が実際に見てきた製造業の状況です。

DX推進に必要なのは「再設計と決断」

従って、単純にDX人材や予算を増員すれば解決するのかというとそうではなく、現在から将来にかけてその企業の「あるべき姿」を再度デザインし、そのために必要なDXを取捨選択し、基幹システム、ルール、仕組みをアップデートすることを経営者、従業員含め決断することが重要であると考えています。

次回は「DX推進のあるべき姿」についてお話しします。

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■ 協力

本記事は、株式会社コガク様のご協力のもと、Podcastセミナー原稿をもとに再編集したものです。
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